株式会社アマダは、1946年に創業した日本の大手機械メーカーで、本社は愛知県瀬戸市にあります。

主に

  • シート金加工機械
  • プレス機械
  • レーザー加工機械
  • 溶接機械

などの製造・販売を行っており、国内だけでなくグローバルにも事業を展開しており、

ファイバーハンドレーザ溶接機に関しては、高い加工品質と安定した性能が評価されており、自動車/航空・宇宙/医療機器/電子部品/建材といった幅広い分野で活用されています。

 

最大の強みは「サポート体制」で、グローバルなサービスネットワークを構築していることから、世界中のお客様からのサポートノウハウが集約されており、その蓄積されたアフターサポート/メンテナンスサポート/緊急サポートには素晴らしいものがあります。

これらのことから、大手メーカーならではの強みを活かし、ファイバーハンドレーザ溶接機においても一歩リードし続けています。今後も、お客様に最適な製品とサービスを提供し、世界の製造業の発展に貢献していくことでしょう。

ここで取り上げる機械は、中国で生産されたIPG製のものをリパッケージした製品『FLW1500MT』になります。

『FLW1500MT』の基本情報

【画像・情報引用元:公式HP】

製品ラインナップ

アマダは、1機種のみに絞っています。

『FLW-1500MT』は、定格出力1500Wの発振器を採用。発振器の高出力化に伴う加工領域の拡大に加え、最新のウォブリング機能を併用することで、ワイドレンジな溶接加工を実現。

安全性を高めるための専用パーティションと専用ゴーグル、スタートスイッチも2段階構造となっています。

営業体制

全国各地のエリア毎に専任スタッフが在籍しており、自社から最も近いに施設に案内され、実機を手に取って試し打ちする流れとなっています。

お客様の工場へハンドレーザ溶接機を持ち運びしての対応はありません。

サポート体制

アフターサポート専門のサービススタッフがお客様の元へ赴き、操作方法やトラブルについて対応してくれます。

ほとんどの課題を解決できる優秀なサービススタッフを常駐させていることこそ、アマダの強みと言えるでしょう。

『FLW1500MT』の特長

① ワイドレンジな溶接能力

発振器の高出力化とウォブリング機構の併用により、ファイバーレーザならではの滑らかな溶接から、焦点を絞った低ひずみで溶け込みの深い溶接まで、ワイドレンジな溶接が可能です。

② 溶接速度の向上

板厚が厚い場合でも高速溶接ができます。

③ ウォブリング機能

レーザビームを左右に振ることで、幅の広いビードの形成が可能。隙間への対応力が向上し、安定したフィラー溶接を実現できます。

④ ワーク接触式トーチ

ワーク接触式トーチを採用することで、トーチ先端のカーボンノズルをワークに接触させて溶接を行うため、作業者によらない安定した操作を実現できます。

また、ワーク非接触時においては、危険防止のためレーザビームが停止する安全装置も備えています。

⑤ コンパクト&高効率マシン

省スペース化を実現した完全空冷方式で、チラーが不要。また、エネルギー効率が高まり、省エネ性能が大幅に向上しています。

そのため、環境にも優しく、低コストで長時間の溶接作業が可能です。

『FLW1500MT』の注意点

①作業効率の低下

レーザ加工機で培われた、非常に安全性を重視した設計思想に基づき製造されています。

そのため、JISで求められている安全機能を大幅に超える機能を有しており、中小企業の作業現場で使用した場合に、生産効率に影響が出る可能性があります。

②マルチモードが得意な接合素材と不得意な接合素材

マルチモードが得意とする素材は主に1~3mm程度の鉄です。これらの特定の素材に限り、その特性がいかんなく発揮可能です。

溶接で必要なものは、美観、強度、品質になります。

  • 美観は、表面上の仕上りの綺麗さになります。→鏡面ステンレスやアルミ、銅など反射率が高い素材は、薄板でも表面の仕上りが著しく悪化します。
  • 強度は、溶け込み深さになります。→ワイヤ供給装置付きのファイバーレーザ溶接機全般に言えますが、母材の溶け込み深さが甘くなる傾向にあります。
  • 品質は、ブローホールなどの気孔欠陥が無いことになります。→鏡面ステンレスやアルミ、銅など反射率が高い素材は、表面のみならず溶接内部にも発生しやすいです。

③コントローラがタブレット

加工機では進んでいるタッチパネル化が、普及しているTIG溶接でもタブレット化はまだまだ進んでおりません。2023年新発売の大手メーカー製TIG溶接機でも、アナログボリュームのみの販売になります。

これはこれから5年10年と使用する上での粉塵やヒュームなどが発生する溶接工場環境でワークを製造するにあたって手作業領域の作業現場では故障の原因になることにほかなりません。

また、アナログボリュームは革手でも瞬時に操作できるのに対し、タッチパネル式のコントローラは手袋を外しての作業が要求されます。

④外部の温度環境に~

アマダ製ファイバーレーザ溶接機は、空冷タイプのファイバーレーザ溶接機になります。

そのため、発熱を放出するためにファンを回して冷やすことになりますが、吸気する温度が20度程度であることが前提条件になります。

それ以上の温度での稼働を進めると緊急停止してしまいます。このことを避けるためエアコンを別途お客様にて準備することが必須になります。

パーティションありの場合はそこまで懸念することはありませんが、パーティションを開放している状態での溶接等を実施することになった場合は、稼働率を上げての溶接が不可能になります。

まとめ

アマダ製のハンディファイバーレーザ溶接機は、定格出力1500Wの発振器を採用し、高出力化に伴う加工領域の拡大やウォブリング機能の併用によってワイドレンジな溶接加工を実現します。

また、マルチモードが得意な素材に対しては高速な溶接が可能であり、ワーク接触式トーチにより作業者によらず安定した操作が可能です。

さらに、省スペース化や完全空冷方式による省エネ性能の向上など、機能面においても優れた特徴を持っています。

一方で、作業効率の低下や特定の素材に限られたマルチモード、タブレット式のコントローラによる故障リスク、保守メンテナンスコストの高さ、レーザーの危険性、空冷による稼働率の低下など、注意すべき点もあります。

そのため、購入前には自社のニーズや作業環境に合わせて十分な検討が必要です。また、購入後にも適切なメンテナンスや操作マニュアルに従った操作が必要です。