2023年現在、日本国内で販売されているハンドレーザ溶接機のメーカー全社を、総合的なランキング順で詳しく解説しています。

それでは、最新の総合ランキングBEST3からご覧ください!!

総合ランキングBEST3

会社にハンドレーザ溶接機を導入するうえで大事なポイント4つに分け、それぞれランク付け(S~F)

各メーカーの特徴やサブ的な要素を加味し、現時点でハンドレーザ溶接協会が選ぶ総合ランキングになります。

※各メーカーのアップデートや状況の推移により、総合ランキングは変動します。

【第1位】WEL-KEN

2003年に設立されたハンドレーザ溶接機の老舗企業。当初はYAGハンドレーザの先駆け的な存在で、全国で独占した市場シェアを維持していました。【画像引用元:会社HP

エネルギーを細く絞ってレーザー光とガス流エネルギーをハイブリッド化(VORTEXテクノロジー)の開発や、ファイバーレーザを回転させることにより作業の簡易性を高めることに成功(特許取得)など、ハンドレーザの技術開発を日々実施しながら新製品の開発を行っています。

総合評価S+
製品ラインナップ
(※最大出力)
300W
500W
1000W
ビームの形状ワブリング
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

当初から細やかな顧客ニーズをヒアリングし、新製品開発と販売をすべて国内で実施しているのも特徴の1つ。場所は東京都世田谷区を拠点としており、関東圏を中心に営業展開しています。

ターゲット顧客を金属板金業を主軸としており、スモールパワーからミドルパワーまでの製品をラインアップ。代理店制度により全国展開を図っており、サポート対応も充実しています。また、本社には、ショールームも併設しています。

【第2位】ノースヒルズ(UW JAPAN)

UW JAPANは、1972年に設立された抵抗溶接機やレーザ溶接機の老舗メーカーである旧ミヤチテクノス(現アマダウェルドテック)の元社員たちが2012年に設立した東京都江東区青海に拠点がある企業です。【画像引用元:会社HP

同時期に設立されたグループ会社の中国企業(United Winners Laser Co.,Ltd.)で基本ユニットを製造し、アプリケーションは日本国内で製造開発。2020年より、最新技術のTIG溶接会社『ノースヒルズ』と共同開発、ユーザビリティが格段に向上した新製品が注目を集めています。

また、設立当初から日本国内メーカー複数社にOEM供給しており、国内事業規模は中堅クラスといえます。

総合評価S-
製品ラインナップ
(※最大出力)
500W
1000W
1500W
ビームの形状スイング
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

グループ会社のUWは、燃料電池製造用レーザとしては中国で50%以上のシェアを保有し、社員6,000人を有する大企業に成長しており、燃料電池製造用や自動車鋼板用として、アルミや亜鉛鋼板の溶接が容易に溶接できるアプリケーションを有しています。

また、スイング機能は国内初のクローズ技術であり、安価な中国部材と品質を維持するための国内部材とを使い分けることにより、コストパフォーマンスを最大限生かせます。サポート体制は、東京と大阪の二拠点で対応できる体制となっています。

【第3位】AMADA

板金機械分野で国内トップシェアを誇る企業。アマダウエルドテックを子会社に持ち、海外にも強い販売力を持っています。【画像引用元:商品情報サイト

レーザ切断機、プレス機など複数の機械を製造販売しており、レーザ溶接機はその中の1つ。全国に販売サポート拠点を持っているため、AMADAの各拠点にてデモを見ることが可能

ハンドレーザは中国生産のIPG製(※IPG社は、アメリカ本社のレーザ発振器メーカー)をパッケージング化し、国内モデルとして販売している製品で、筐体は小さく見えるが他社とほぼ同等、デザインはスタイリッシュ。

総合評価A+
製品ラインナップ
(※最大出力)
1500W
ビームの形状スイング
製造国中国
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

製品ラインアップは、1500Wの一機種のみで、本製品に子会社アマダウエルドテックの技術は使われていません。

誰でも安心に作業できるようパーティションなど、安全機能が標準でパッケージング化されているため、設置面積に注意が必要です。

安全機能が含んだ金額は優秀であり、加工技術や使いやすさは、他のAMADA製品同様容易に使用可能であるが、こだわりの設定や調整などは限定的です。

その他のハンドレーザ溶接機メーカー

ハンドレーザ溶接機メーカーは、他にもまだまだあります。

技術のアップデートや価格の低下、新製品の登場によって、上記の総合ランキングと入れ替わる可能性だってあるでしょう。

大手企業グループから中小企業や輸入商社まで、さまざまな会社が販売しています。

レーザックス

1941年創業、1988年にレーザ受託加工を開始した老舗企業。高い専門性が必要なレーザ事業にいち早く進出し、長期にわたりレーザの知見や技術を磨き上げてきました。【画像引用元:総合情報サイト

それゆえ依頼の大半は、業種問わず難加工技術による「試作加工」や「加工試験」であり、レーザ技術の普及&発展に貢献し続けています。また、オンリーワン技術として、厚板水中切断があります。

そしてレーザ溶接においては、国内メーカーとして初めて、ファイバーレーザを光源としたハンドトーチレーザ溶接機を開発し、「純国産レーザ加工ヘッド」を発表しました。

コンサルティングからシステム設計まで得意とする中、近年はレーザ溶接機の開発・販売にも力を入れています。

総合評価A-
製品ラインナップ
(※最大出力)
500W
3000W(パルス)
4500W(パルス)
ビームの形状ワブリング
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

自動レーザ溶接機による生産ノウハウを蓄積しており、その加工技術を生かし、ハンドレーザ溶接機を開発。製品ラインアップの「4500W/3000W」は、パルスモードでの最大値であり、他社のCWとは比較基準が違うことに注意が必要です。

本製品は製品化まで長期に渡っていたのと、主軸はレーザ加工技術であることで販売展開は限定的です。それゆえコストパフォーマンスは上記3社と比較すると、若干見劣りします。

加工技術は、パルス制御の製品であるため「気密溶接」には不向き。サポートは愛知県を拠点としており、名古屋一帯に強みを持っています。

エイム

1980年設立した精密板金受託加工の下請け仕事がメインだった企業です。溶接もやってはいましたが、あくまで数ある工程の中の一つにしか過ぎませんでした。【画像引用元:会社HP

経営者が代替わりし、10種類以上の自社製新製品を開発。そのうちの一つがハンドレーザ溶接機であり、コンセプトは安くて高出力なレーザ溶接機を開発すること

総合評価B+
製品ラインナップ
(※最大出力)
600W
800W
1000W
1500W✕二種類

4000W(パルス)
ビームの形状センター/リング
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

CWとパルスの両方を出射することが可能ですが、高出力のため放熱に課題があり、それを意識した設計構造となっています。そのため、筐体はサイズ及び重量が他社製品の中で最大クラス

加工性や使いやすさは、自社でも運用されている溶接機なので定評があります。社内に設計部門を有しており、メカ設計の技術で自動機やレーザ溶接機の開発/製造/販売も行っています。

東京に拠点を持ち、サポート体制は、他の製品も数ある中での体制になるため確認は必要。装置が大きいゆえに、マイクロバスでの出張デモを実施しています。

2023年から、黒い筐体の1500Wのミニタイプの取り扱いもスタート。おそらく昨今の安価な中国版ファイバーハンドレーザが出回っていることへの対抗策だと思われます。

そのため、上記図の「AFL-1500」よりも値段が安く、コンパクトになっており、エイム製品の「サイズ及び重量の大きさ」という課題にも意識したラインナップと言えるでしょう。

ただし性能面・機能面でどうなのか、冷却方式やチラーはどうなのか、といったそのあたりの基本スペックに関しては順を追って随時、情報を更新していきます。

日本ウエルディング

1963年にWEL-KENから分離独立した企業。当初はアルゴン溶接機のメーカーとして創業、プラズマ切断、溶接兼用機を開発・販売し、そのプラズマ技術を利用し、「ウェルペン」を開発、特許を取得。【画像引用元:会社HP

1983年には、YAGレーザ発振器を自社開発。新明和工業株式会社を販売窓口とし、自動車試作プレス業界に多くの製品導入をされました。WEL-KEN同様、ハンドレーザ溶接機を長く牽引する企業です。

近年ファイバーレーザ溶接機が主軸になる中で、ハンドYAGレーザを軸を崩していなかったが、ここ数年のハンドファイバーの波に応えるべく、力を入れ始めました。そのため、ファイバーハンドレーザ溶接機としては後発メーカーになります。

総合評価C+
製品ラインナップ
(※最大出力)
1000W
4500W(パルス)
ビームの形状変調パルス
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

製品ラインアップの4500Wレーザは、パルス式なので、他社のレーザとのパワー(CW)比較には注意が必要です。

機械メーカーによる製品開発となるため、作業者のフィードバックが得られにくいのが一つ難点といえます。

販売体制は、東京を拠点としていますが、代理店制度によって全国での販売も展開中。サポート体制は、代理店経由での対応が多いですが、誠実な対応には定評があります。

群協製作所

1963年設立の銅管継手メーカーで現在は、その精密旋盤加工技術を生かし、レーザ切断用ノズルメーカーとして事業を展開しています。【画像引用元:会社HP

しかし切断ノズル事業の傍ら、レーザ溶接機の販売にも力を入れています。自社ブランドでレーザ切断機など他のアプリケーション製品も取り扱っており、お手頃な価格に定評を受けています。

代表者が大手メーカーや海外で働いた経験を活かし、各社からのOEM供給により複数のアイテムを取り扱っています。

総合評価C-
製品ラインナップ
(※最大出力)
500W
1000W
1500W
ビームの形状スイング
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

営業力に定評があり、加工技術や使いやすさに関しては、顧客ニーズに分かりやすく訴求させることに長けています。

1500Wの高出力ファイバーレーザ溶接機にはスイング機能が付加されており、金属板金だけでなく、金属加工メーカーでも需要がある溶接機を販売しています。

販売においては、ノズルメーカーで培ったネットワークを活かし全国展開しています。サポート体制は、群馬県を拠点としており限定的なのが一つ難点と言えるでしょう。

澁谷工業

1931年石川県金沢市に設立したボトリングシステム国内トップ企業であり、機械装置メーカーとして世界初技術を複数所有しているメーカーです。【画像引用元:会社HP

レーザ加工機も複数種類を開発生産しており、その一つにレーザ溶接機が存在します。ハンドに関しては、2012年5月にハンドYAGレーザ溶接機を発売したのを皮切りに、現在ではファイバーハンドレーザ溶接機の販売も始めています。

他社と大きく違う点は、レーザ技術を医療機器にも転用し、レーザ手術装置なども販売しているところです。

総合評価D+
製品ラインナップ
(※最大出力)
500W
1000W
1500W
ビームの形状スイング
製造国日本
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

ファイバーハンドレーザにおいては、スイング機能を保有した最大出力が500W/1000W/1500Wのスペックを兼ね備えています。加工技術や使いやすさにおいては、社内の試作開発部隊が操作性などを考えたうえで設計製造されています。

販売においては、製品カテゴリが多岐にわたっており、代理店経由で顧客ニーズがあった際に提案されることが多いです。

石川県を販売拠点としており、全国にも営業拠点を持っています。サポート体制は、他の製品同様、全国の営業拠点がフォローを行っており、必要に応じ自社に引き揚げての修理メンテナンスとなります。

光響

2009年に設立した京都大学発の光学機器販売ベンチャー企業。経営理念として、「光・レーザー技術で社会を豊かに」。【画像引用元:会社HP

他社と大きな違いは、事業メンバーの大半が研究者であり、レーザの専門家集団である点です。

また、販売方法にサブスクリプション方式(月額料金)を導入するなど、製造業に新風を巻き起こそうとしています。

総合評価D+
製品ラインナップ
(※最大出力)
1000W
1500W
ビームの形状スイング
製造国中国
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

本製品は、ファイバーハンドレーザ溶接機ですが、大幅に軽量化されている理由は、チラー(水冷式冷却装置)無しでの運転を標準としているからです。そのため、常時フル稼働する製造現場ではヒートアップするため、使用環境を確認する必要があります。

加工技術や使いやすさは、基本動作に関しては他社と遜色ありませんが、製造現場での意見をフィードバックする体制はありません。

サポート体制は、基本返送での対応となっており、Amazonや楽天などのイメージに近く、気軽にオンライン購入で完結することを望むユーザーには最適な製品です。

安価版の中国製ハンドレーザ溶接機メーカー

続いて、安価版の中国製メーカーです。

こちらは、性能が落ちる分、値段が安いハンドレーザ溶接機になります。

サポート体制に不安はありますが、導入コストが抑えられるのは利点と言えるでしょう。

PENTA LASER(レーザ技術サービス)

2007年中国で設立されたハイパワーレーザ製造装置の開発と製造を専門とする中国とイタリアの合弁会社。中国現地での事業規模は500億円(25億元)規模と大きいですが、そのほとんどがレーザ切断機です。【画像引用元:会社HP

ファイバーハンドレーザ溶接機は、中国OEM又はアセンブリであることが現地の公式HPから散見されます。その機械を日系の販売会社が総代理店として一手に引き受けている形態となっています。

日系販売会社である日本レーザ技術サービスは、金属加工機を中心に貿易を得意としており、その一つにレーザ溶接機が存在し、国内で販売しています。安価で入手できるところを売りとしているため、他社と比較し安価でレーザ溶接機を購入したいという方には手に入れやすい製品と言えるでしょう。

総合評価D-
製品ラインナップ
(※最大出力)
500W
1000W
1500W
2000W
ビームの形状サークル
製造国中国
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

課題は、メンテナンスを中国工場に依存しているため、動作不良が発生した際は、状況次第で中国に返送して対応してもらう必要があるため、修復に時間を要することです。

また、安全機能などが中国基準となるため、日本国内のレーザ安全規格に合致していない可能性があります。そのため、購入時に確認の必要があります。

加工技術や使いやすさは、基本動作に問題はありませんが、日本の溶接技術を基準としていないため、日本人特有の使い勝手に対しては対応しきれない可能性があります。活動拠点は神奈川県です。

PHYSICAL PHOTON

2013年設立のレーザ開発メーカーから独立した代表者が設立した企業。代表者が中国人であり、中国とのパイプが太く良質なレーザ溶接機を輸入し、国内販売しています。【画像引用元:会社HP

他の中国製仕入販売メーカーと比較し、代表自ら中国現地メーカーと折衝できるメリットは大きいといえます。販売商社であるため、営業力には定評があり、ファイバーハンドレーザ溶接機も1500Wと高出力のものを取扱しています。

コストパフォーマンスは未知数なとこがあり、メンテナンスに関しても、中国工場に依存しているため、動作不良が発生した際は状況次第で中国に返送して対応してもらう必要があります。

総合評価E+
製品ラインナップ
(※最大出力)
1000W
1500W
2000W
ビームの形状不明
製造国中国
コストパフォーマンス
加工技術の汎用性
使いやすさ
サポート体制
出張デモ

安全機能などは中国基準となるため、日本国内のレーザ安全規格に合致していない可能性があります。

また、加工技術や使いやすさに関しては、上記『PENTA LASER』同様、日本の溶接技術を基準としていないため、日本人独特の使い方とは相性が良くない可能性があります。活動拠点は京都です。

番外編

下記三社はランキング外の番外編としてご紹介します。

アマダウエルドテック

元ミヤチテクノスという、老舗の抵抗溶接開発メーカーを今から十数年前にアマダが買収。その基礎溶接技術を武器に、レーザ溶接機を開発・販売しています。【画像引用元:会社HP

丁寧なモノづくりと親会社アマダの高い販売網により、全国にサポート体制を構築しています。

現在は、ハンド式のファイバーレーザ溶接機は販売しておらず、ハンド式はYAGのみ販売しているため、ランキング外としました。

THM

1965年創業の横浜に本社を置く、溶接自動機(ソリューション)販売の老舗企業です。【画像引用元:会社HP

YAG&ファイバーの両レーザ溶接装置、精密溶接装置とその周辺機器など、自動化による「加工技術と製造技術の最適な組み合わせ」をテーマに活動しています。

そのため、自動化によるワンストップを目的とした溶接装置しか販売しておらず、アーク/TIG溶接者向けのハンド式溶接装置は取り扱っておりません

SMART DIYs

2012年創業の山梨県に本社を置く、デジタル工作機器の販売を手掛ける企業です。【画像引用元:会社HP

中国で製造されている安価なレーザ設備(完成品)を輸入し、国内販売しています。レーザ切断機が主軸で、「DIYの延長で使用したい」というニーズに合致した製品を中心に拡販しています。

どちらかというと、一般消費者向けの通販形態に近く、相談から購入・メンテナンスまで全て「リモートでの対応」と記載があります。工業用として使用するには、パワー/速度/品質/保守とあらゆる面で不安があるため、ランキング外としました。