補助金と製造業は、とても密接に関わっています。
理由は、他の業種とは違い、生産するために、まず機械設備が必要になるからです。
つまり、売りが立つ前に大きなコストを必要とする業界のため、国も地方自治体も、銀行などの金融機関も
製造業を包括的に支援する仕組みが形成されており、“補助金” もその一環といえます。
そのため、補助金を活用してファイバーハンドレーザ溶接機を導入することは、現実的で有用な手段です。
例えば、補助金によって
- 導入スケジュールを前倒し
- 最大出力1000Wから1500Wにスペック変更
- 中国製ではなく国内製にランクアップ
- 一台ではなく二台導入
- 補助金で浮いた分を作業者の人件費に充てる
といった選択肢が生まれたりしますよね。
ここでは、そんな便利な補助金を「ハンドレーザ溶接機導入に活用できる」というテーマでご紹介しています。
ものづくり補助金
【画像・情報引用元:公式HP】
まず一番におすすめなのが「ものづくり補助金」です。
名称から製造業をイメージした補助金と思われがちですが、正式には「ものづくり・商業・サービス補助金」という名称であり、“生産性向上促進” という目的さえ合致した事業であれば、どんな業種であれ申請することが可能です。
従来の補助上限はずっと1,000万円でしたが、近年のコロナ禍の影響や、物価&最低賃金の上昇、デジタル化の遅れや環境問題など、さまざまな状況の変化に応じて、補助上限が引き上げられました。
また、申請枠のプランも年々種類が増え、補助率も各類型または各条件によって2/3や1/2となっています。
事業目的
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
基本要件
<以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定することが必要>
- 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
- 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする
- 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
<以下に同意の上、事業計画を策定・実行することが必要>
- 申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を策定していることが必要です。交付後に策定していないことが発覚した場合は、補助金額の返還を求めます。
- 財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とします。
- 再生事業者である場合には、各目標が達成できていない場合であっても返還は免除します。
直近のスケジュール
直近では、15次締切分が2023年4月19日に公募が開始され、2023年7月28日をもって応募が締め切られます。
- 公募開始:令和5年4月19日(水) 17時~
- 申請受付:令和5年5月12日(金) 17時~
- 応募締切:令和5年7月28日(金) 17時
※15次締切分補助金交付候補者の採択発表は、令和5年9月下旬頃を予定しています。
事業再構築補助金
【画像・情報引用元:公式HP】
続いて、おすすめなのが「事業再構築補助金」です。
この補助金は、新型コロナウイルス蔓延の危機的状況により創設された新しい制度であり、近年では、その予算&補助上限が大きいことから、最も注目を集めた補助金と言えるでしょう。
上記の「ものづくり」が “生産性向上” に重きを置いているのに対して、「事業再構築」はその言葉通り、“新たな事業の構築” がテーマとなっています。
なので、新たな事業にチャレンジする目的でハンドレーザ溶接機を導入する場合に、相応しい補助金といえます。
事業目的
本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
第10回公募からは、コロナや物価高騰により依然として業況が厳しい事業者への支援として「物価高騰対策・回復再生応援枠」を措置することに加え、産業構造の変化等により事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者への支援として「産業構造転換枠」、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーン及び地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)への支援として「サプライチェーン強靱化枠」、成長分野への事業再構築を支援するべく売上高等減少要件を撤廃した「成長枠」を新設するなど、ポストコロナ社会を見据えた未来社会を切り拓くための取組を重点的に支援していきます。
補助金額
[成長枠] ※中小企業者等、中堅企業等ともに
- 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
- 【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
- 【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
- 【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
[グリーン成長枠(エントリー)]
●中小企業者等
- 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
- 【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
- 【従業員数51人以上】100万円~8,000万円
●中堅企業等
- 100万円~1億円
[グリーン成長枠(スタンダード)]
- 中小企業者等:100万円~1億円
- 中堅企業等 :100万円~1.5億円
[卒業促進枠]
- 成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる
[大規模賃金引上促進枠]
- 100万円~3,000万円
[産業構造転換枠] ※中小企業者等、中堅企業等ともに
- 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
- 【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
- 【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
- 【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
※廃業を伴う場合は、廃業費を最大2,000万円上乗せ
[最低賃金枠] ※中小企業者等、中堅企業等ともに
- 【従業員数5人以下】100 万円~500 万円
- 【従業員数6~20 人】100 万円~1,000 万円
- 【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
[物価高騰対策・回復再生応援枠]※中小企業者等、中堅企業等ともに
- 【従業員5人以下】100万円~1,000万円
- 【従業員6~20人】100万円~1,500万円
- 【従業員21~50人】100万円~2,000万円
- 【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円
補助率
[成長枠]
- 中小企業者等1/2 (大規模な賃上げ(※1)を行う場合2/3)
- 中堅企業等 1/3(大規模な賃上げ(※1)を行う場合1/2)
[グリーン成長枠(エントリー・スタンダード共通)]
- 中小企業者等 1/2(大規模な賃上げ(※1)を行う場合2/3)
- 中堅企業等 1/3(大規模な賃上げ(※1)を行う場合1/2)
[卒業促進枠]
- 中小企業者等 1/2
- 中堅企業等 1/3
[大規模賃金引上促進枠]
- 中小企業者等 1/2
- 中堅企業等 1/3
[産業構造転換枠]
- 中小企業者等 2/3
- 中堅企業等 1/2
[最低賃金枠]
- 中小企業者等 3/4
- 中堅企業等 2/3
[物価高騰対策・回復再生応援枠]
- 中小企業者等 2/3(※2)
- 中堅企業等 1/2(※3)
(※1) 事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成すること。
(※2)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4
(※3)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3
基本要件
下記①、②の両方を満たすこと。(※4)
①経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。(※5)
②補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上増加させること。又は従業員一人当たり付加価値額を年率平均3.0%~5.0%(事業類型により異なる)以上増加させること。
(※4)各事業類型毎に①、②の他に補助対象要件を別途設けています。詳細については、4.補助対象事業の要件を参照ください。【最低賃金枠】は、加点措置を行い、【物価高騰対策・回復再生応援枠】に比べて採択率において優遇されます。
(※5)補助金額3,000万円を超える案件は、認定経営革新等支援機関に加え、金融機関(ファンド等を含む。金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみで可)による事業計画の確認を受けている必要があります。認定経営革新等支援機関や金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定ください。なお、複数の事業者が連携して申請する場合には、認定経営革新等支援機関による事業計画の確認は任意となります(補助金額が3,000万円を超える事業者については、それぞれの事業者単位で金融機関による確認を受けていることが必要となります)。
直近のスケジュール
直近では、
※※※
補助金を申請する上での注意点
次に、補助金を申請するうえで注意しなければならないポイントをご紹介します。
補助金というのは、ルールが複雑でややこしく、使いこなす道のりは決して平坦ではありません。
しっかりと注意点を抑えて、確実性をもって取り組みましょう。
助成金とは違って、厳正な審査あり!?
補助金と同じような制度に助成金があります。
補助金は経済産業省の管轄であり、助成金は厚生労働省が管轄しています。(※地方自治体が募集するものは別)
助成金は、その言葉通り「助ける、支援する」意味合いが強く、一定の要件さえクリアすれば、100%支給されるものが多いです。
一方の補助金は、「新たなチャレンジに補助する」意味合いが強く、申請した事業計画に対して、1/2や2/3支給されるのが一般的です。
そして、この条件の違いが要注意で、補助金は、申請された事業計画一つ一つ厳正に審査され、採択か否か決定されます。
採択率は種類や年度によって違いますが、だいたい30〜60%を推移しており、助成金に比べて遥かに支給までのハードルが高いのです。
全額が補助されるわけではない!?
申請した事業計画の経費全額が補助されるわけではありません。
補助金は、種類ごと類型ごと条件ごと等、それぞれで補助率が設定されており、基本的に1/2~3/4の間で決められています。
よって当然、それ以外の部分は自社負担で資金を用意しなければなりません。
また、ほぼ全ての補助金で、消費税部分も補助の対象外となっており、例えば補助率2/3だった場合、実質的な補助金額は1/2程度になるわけです。
そのため、この仕組みを十分に理解したうえで、事業計画を練るようにして下さい。
支給されるのは後から!?
補助金というのは、申請した事業計画の取組内容をすべて完了し、実績報告を作成、それを提出して経済産業省の担当部署に承認されて初めて、会社に支給される流れになります。
つまり採択され、補助事業をスタートするために、一旦は自社で全額用意する必要があるわけです。
もちろん、補助金に採択された結果に対して、取引銀行が融資しやすくなるケースもありますし、会社の資金不足を「つなぎ融資」としてサポートしてくれる国の制度もいくつか存在します。
なので、お金が後から支給される前提で、メインバンクや顧問税理士等に相談し、補助事業に対するキャッシュフロー計画も併せて検討しておきましょう。
まとめ
「ハンドレーザ溶接機導入に活用できる補助金」というテーマで詳しく見てきました。
このページをご覧になれば、
- おすすめの補助金
- 各補助金の詳細
- 申請する際の注意点
をお分かりいただけます。
ぜひ補助金を上手に使いこなして、ハンドレーザ溶接機の導入に役立てて下さい。